小倉北区の歯医者「ますだ歯科クリニック」

妊婦さんの歯科治療

 

こんにちは!ますだ歯科クリニックです。
妊娠中にも歯医者さんに行ってもいいの?
お腹の赤ちゃんに影響は?」など様々な
疑問や不安もあるかと思います。
今回は、妊婦さんの歯科治療」についてお話します。

 

妊娠による口腔内の変化!


妊娠後に歯が悪くなった」というお話を
耳にしたことはありませんか?
実は、妊婦さんのお口が虫歯に
なりやすいというのは本当の事で、ただ原因は
カルシウムが赤ちゃんに取られてしまうから
ではなく、赤ちゃんを育てるために妊婦さんの
からだに起きる変化が大きく関わっているから
なのです。
なぜ虫歯になりやすいのかお話していきます。


妊娠中は虫歯になりやすい!
1、つわり

個人差はありますが、つわりは妊婦さんにとって
避けられない症状で、ひどい方だと歯ブラシや
歯みがき剤をお口に入れるだけで吐き気が
してしまう方もおられ、丁寧な歯みがきが
難しくなるからです。


2、食の好みの変化
甘い物・酸っぱい物が好きになり、甘い物が
好きになると、虫歯菌が大好物な「砂糖」を
沢山とるようになります。
また酸っぱい物が好きになると歯のカルシウムを
溶かす酸性度の強い食べ物(柑橘類など)を
とるようになり、強い酸が歯に触れる機会が増え
歯の表面が溶けやすくなります。

3、間食
お腹が大きくなると胃が押されてしまい
少しずつしか食べれなくなり、間食が増えます。
ちょこちょこ食べるようになるので虫歯菌は
そのたびにエサをもらえて喜びます。
特に甘い物をよく食べると虫歯に
なりやすいです。


4、唾液の減少
妊娠中は、ホルモンの影響で唾液が減ります。
お口の中を洗い流す自浄作用が弱まり、唾液の
粘り気が増し、お口の中が
洗い流されにくくなります。
歯を修復する再石灰化作用も弱まります。

〇酸っぱい物を食べたらうがいをしましょう〇

酸に触れた歯の表面のカルシウムが溶け
エナメル質が薄くなってしまうことがあります。
硬いエナメル質が薄くなると虫歯の穴が
開きやすくなってしまいます。
酸っぱい物を食べたら水でうがいをしましょう。


女性ホルモンの増加で歯周病のリスクが上がる!
歯周病菌は、女性ホルモンが好きで妊娠すると
女性ホルモンである
エストロゲン(卵胞ホルモン)や
プロゲステロン(黄体ホルモン)の血清濃度の
上昇にともない、唾液や歯茎の溝から出てくる
組織液(歯肉溝浸出液)の中における
女性ホルモンの濃度も上昇し、種類によっては
妊娠していないときの10~1000倍にも
増えます。
歯周病菌は、女性ホルモンを栄養素とするので
女性ホルモンが増加すると歯周病菌も
増殖するので「妊娠関連性歯肉炎」などが
起こりやすくなります。


血流の増加も炎症を引き起こす一因!
プロゲステロン(黄体ホルモン)が細い血管を
拡張して浮腫を生じさせたり、抹消血管の
抵抗性を弱める物質がつくられるのを
促進することでからだの組織の血流が
増加するため、歯茎の腫脹や出血が
起こりやすくなると考えられています。
妊娠関連性歯肉炎」は、ほとんどが歯と
歯の間の炎症を中心とする歯肉炎で
ブラッシングとプラークコントロールで
改善できます。

妊娠性エプーリス
エプーリスとは、お口の中の粘膜に
部分的に生じる良性の
しこりのようなもののことです。
妊娠期に発症したものが
妊娠性エプーリス」といいます。
妊婦さんの1~5%に生じるといわれています。
女性ホルモンの増加によって、歯茎の
コラーゲンが増殖したものと考えられています。
妊娠性エプーリスは、上の前歯に現れることが
多く、血管成分の多い「血管腫性エプーリス」や
肉芽腫性エプーリス」の割合が高い傾向に
あります。
妊娠性エプーリスは、出産後に消失することが
多いです。


歯周病が早産や低体重児出産のリスクを高める!

歯周病にかかっている妊婦さんは、
かかっていない妊婦さんに比べ、早産や
低体重児出産のリスクが5~7倍に膨らむと
いわれています。
歯周病の炎症があると、
子宮を収縮させる作用がある物質
(PGE2〔プロスタグランジンE2〕、
炎症性サイトカイン)の血中濃度が高まります。
特にPGE2は、陣痛促進剤として使われるほど
子宮収縮作用が強いため、歯周病が重症化すると
早産や低体重児出産の可能性が高くなるのです。
妊娠中でも、歯周病の治療をすれば炎症を
最小限に抑えることができますし、早産や
低体重児出産のリスクを軽減できることも
知られています。


妊娠中の歯科治療

受けられる時期と注意点は?
妊娠初期(妊娠0~15週)
つわりで繰り返し起こる嘔吐や嗜好の変化と
偏り、吐き気による歯みがき不足などのために
虫歯や歯周病になりやすいお口へと急激に
変化しやすいです。
〈注意点〉
赤ちゃんの重要な器官がつくられる大切な時期で
緊張を感じたり、長い治療をおこなったりは
おすすめできないですし、流産の危険性を
考慮して、痛みや炎症をひとまず止めるための
応急処置にとどめ、本格的な治療は、安定期か
産後におこないます。
治療器具をお口の中に入れられることで
吐き気がする方もいらっしゃるので無理は
禁物です。
かかりつけの歯科医院で定期的に経過観察を
受けましょう。
妊娠中期(妊娠16~27週)
徐々につわりがおさまってきて歯みがきが
しやすくなってきます。
一方、食欲が増して間食の回数が増えるなど
食習慣の変化が虫歯の原因に
なりやすい時期です。

〈注意点〉
胎盤が完成する安定期に入ります。
産後まで治療が待てない場合、外科処置を
含む一般的な歯科治療を受けることができます。
妊娠後期(妊娠28~39週)
赤ちゃんが急激に成長して子宮が大きくなるので
胃が圧迫されて一度に沢山食べられません。
ちょこちょこ食べる必要があるので
虫歯のリスクが上がる時期です。
〈注意点〉
仰向けで診療を受けると大きくなった子宮に
大静脈を圧迫され、低血圧症を起こしやすく
なります。
歯科受診の際は、チェアの背を少し
立ててもらって短時間の応急処置にとどめるなど
体調に合わせた治療計画を
立ててもらいましょう。

妊婦さんの歯科受診


こんなことに気をつけましょう!
【妊娠中だと伝えましょう!】
妊娠初期はお腹が大きくないので医師や
スタッフも気づきづらいものです。
妊婦さんの治療では、使用する薬剤を妊娠期に
合わせて配慮させていただいております。
来院した際には、妊娠中だと伝え
母子健康手帳」をお持ち下さい。
また、産科の主治医に注意を受けていることが
ある場合は伝えて下さい。
治療の相談はお早めに
妊婦さんのお口の中は、妊娠前に比べて虫歯や
歯周病が進行しやすくなっています。
症状が軽いうちに歯科医院で検査を受け
体調に合わせて治療が受けられるように
相談しましょう。

産科の主治医にも相談しましょう!
歯科治療をはじめたい方は、妊婦健診の際に
産科の主治医に相談しておきましょう。
〇親知らずのトラブル〇
歯茎が腫れやすく虫歯も
進行しやすい妊娠中は、急に親知らずが
悪化しやすくなるので
親知らずの抜歯を先延ばししている方など
将来、赤ちゃんが欲しいな」と思ったら
親知らずは抜いておきましょう!


赤ちゃんへの影響は大丈夫!?


妊娠中の局所麻酔は?
一般的な歯科治療でもっとも多く
使われている麻酔薬リドカインは、
無痛分娩や帝王切開にも使われ、妊娠全週で
問題なく使用できる麻酔薬です。
気になる場合は、事前に歯科医にしっかり
確認するようにして下さい。


お薬は?
赤ちゃんに比較的安全性が高い抗生物質や
鎮痛剤もあります。
服用に際しては、歯科医師と相談しましょう。

お話したとおり、妊婦さんは虫歯に
なりやすいです。
体調が良い時に定期的に歯科医院に行くことを
おすすめします。
つわりなどでつらい時期もありますので
無理をしないことも大切です。
治療中に気持ちが悪くなった場合などはすぐに
医師やスタッフにお伝えください。

次回は「妊婦さんのお口のケア」について
お話します。

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