こんにちは!ますだ歯科クリニックです。
今回も引き続き、歯周病と全身疾患の関係性について
お話していきます。
歯周病と全身疾患
前回、動脈硬化とそれにともなう脳梗塞・心筋梗塞と
糖尿病についてお話しましたがその他にも関連性が
高いと考えられているものがありますので
いくつかお話します。
■誤嚥性肺炎■
高齢者の肺炎の大部分は、誤嚥性肺炎と
報告されています。
誤嚥性肺炎は、本来は「口→食道→胃」と入るはずの
食物や唾液が誤って「口→気管→肺」に
入ってしまうことが原因です。
食物や唾液に含まれていた細菌やウイルスが肺胞で
増殖して肺炎を起こします。
誤って入ってしまう(誤嚥)のは、舌やお口、のどの
筋肉が衰えて、飲み込む力(嚥下)が
弱っているためです。
食事のときに頻繁にむせるというのは、飲み込む力が
弱っている兆候ですので気をつけましょう。
お口の中の細菌の量が多いほど、誤って肺に
入り込んだときに誤嚥性肺炎になりやすくなります。
歯周病は、炎症を起こしている歯茎の中で歯周病菌が
増殖している状態なので歯周病を放置していると
いうのは、たくさん細菌を飼っているのと
同じことになります。
お口の衛生状態は感染症に直結します。
歯周病になってしまったら早めに治療し、歯磨きで
しっかりとお口の中の細菌の量を減らすことが
誤嚥性肺炎の予防には大切です。
■早産・低体重児出産■
タバコやアルコール、膣炎ほか産科器官の感染症、
高齢出産などが早産・低体重児出産に関わることは
知られていますが、歯周病も一因になると
考えられています。
※早産とは、妊娠37週未満での出産。
低体重児出産とは、出生児の体重が2500g未満の
出産のことをいいます。
今、考えられているケースのうち2つを紹介します。
①歯周病が起こす炎症が悪さをする。
通常のお産の場合、母体の変化や胎児の成長によって
妊婦さんの体内ではさまざまな炎症性物質や
ホルモン、タンパク質分解酵素の濃度が上昇し
出産が促されます。
対して、進行した歯周病の場合、炎症性物質が
歯茎から体内に入り込むようになります。
炎症性物質の増加はタンパク質分解酵素の分泌を
促進し、子宮の収縮を引き起こします。
子宮の筋肉が収縮する結果、赤ちゃんが押し出されて
予定より早く産まれてしまうのです。
②歯周病菌が子宮内部の器官に感染する。
羊水や羊膜などへの細菌感染は、早産や胎児の
発育不全のリスクとなります。
羊水は本来、無菌的な環境ですが早産の妊婦さんの
羊水や臍帯(へその緒)から歯周病菌が
検出されたという報告もあります。
妊婦さんはホルモンバランスの変化やつわりで
歯磨きがしづらくなることなどから歯周病になりやすく
悪化しやすい傾向があります。
■骨粗鬆症■
骨粗鬆症とは、骨の強度が低下して脆くなり
骨折しやすくなる病気です。
骨粗鬆症は主に閉経後の女性に発症しやすい病気です。
原因としてはエストロゲンというホルモンが
閉経によって減少してしまうことにあります。
なぜエストロゲンが関係するのかというと
エストロゲンは、骨代謝に大きく関わり分泌が
少なくなると全身の骨が脆くなるとともに歯を
支える歯槽骨も脆くなります。
歯周組織の炎症が進むと歯槽骨が溶けて歯が
ぐらつくようになりますが骨粗鬆症の人では
歯槽骨が脆くなっているため、その進行が加速され
歯を失うリスクも高まります。
そのため、歯周病を治療することで骨粗鬆症の
進行も抑えられる可能性があります。
■肥満■
歯周病と肥満は相互に関連しているといわれていて
歯周病は肥満を引き起こし、肥満が歯周病を
悪化させることが様々な研究で明らかに
なってきています。
特に病気のない20~59歳成人では、BMIが
高いほど歯周病にかかっている割合も高いことが
調査で判明しています。
BMIが20未満(やせ、正常)の人が歯周病に
かかるリスクを「1」とすると、BMIが
20~25未満(普通)の人では「1.7倍」、
25~30未満(肥満度1)の人では「3.4倍」にも
リスクが高まります。
また体脂肪率が高い人(25%以上)、ウエストと
ヒップの比率が高い人は、歯周ポケットの深さが
健康な人よりも割合が高くなっていたそうです。
脳梗塞・心筋梗塞、糖尿病、誤嚥性肺炎、
早産・低体重児出産、骨粗鬆症、肥満を
ピックアップしてお話しました。
しかし歯周病との関連が疑われている病気は
まだまだあります。
からだの入口はお口です。
健康に保つことでいいことはたくさんあります。
正しい口腔ケアを続けていれば、少なくとも歯周病菌が
原因で全身の状態を悪化させることや健康寿命を
縮めてしまうことは防げます。
日々のブラッシングを丁寧にし、歯科医院で定期的な
メンテナンスを受け、自分の今のお口の状況・状態を
把握し、健康な生活を送れるようにしましょう!