よく噛めるお口でいよう① md_grits 2年前 こんにちは!ますだ歯科クリニックです。カラダに良い食生活を送るために食材などに気を配って過ごしている方は多いと思いますが、その食材をよく噛んで食べるために重要な「お口の健康」にも気を配っていらっしゃいますか?将来やってくるシニアライフを元気に楽しむため、今回は「よく噛めるお口でいよう!」をテーマにお話していこうと思います。お口の老化、いつ頃はじまる?定期的に歯科医院で予防指導や予防処置を受けている方は、高齢になっても数本の喪失ですみますが痛いときだけ受診する方(歯磨き指導も予防処置も受けてない方)は、60代70代で急激に歯を失って、一気にお口の老化が進行してしまいます。なんでも噛んで食べられる人は70歳以上では6割ほどでつまり、歯が残っている、あるいは入れ歯などを使ってよく噛めるという方が6割なのに対し4割の方が噛む能力に問題を抱えているといわれています。噛む能力は栄養摂取に大きな影響を与え高齢者のカラダの衰えの一因として「噛めないことによる栄養不足」が重大視されています。—噛めないとどんな栄養が 不足しやすいのか?—歯が悪くなると全体的に食が細くなってしまったり、やわらかいものを好んで食べるようになったりします。すると、食事全体に占めるおかゆやうどんなどのご飯類や麺類の比重が増えてきたり、手軽に満足感を得られるお菓子の間食も増える傾向が見られます。その結果、糖質過多になりやすく、血糖値のコントロールが難しくなってしまいます。また根菜などは、ごくやわらかく調理しないと食べにくいため、手間がかかりあまり食べない方も増えてきます。食物繊維が不足すると便秘などの原因にもなります。さらに深刻なのが、タンパク質不足で肉を噛みきることが難しくなると自然に食べなくなり、タンパク質不足に陥りやすいのです。もともと高齢になるとタンパク質のカラダへの吸収率は落ちますが、そのうえタンパク質の摂取量自体も減ってしまうと深刻なタンパク質不足になり、筋肉量が減って体力や免疫力の低下につながってしまいます。肉類に豊富に含まれる鉄分やビタミンAの不足も貧血や肌荒れの原因になり、虚弱に陥る一因となります。噛めない人が陥りやすい栄養の偏り。栄養の摂取には、実は歯の健康がとても大事なのです。—低栄養—栄養が足りなくなると「低栄養」といわれる状態になります。低栄養とは、健康な生活を維持するための栄養が足りていない状態をいいます。特に問題とされるのは、筋肉量を減らしてしまうタンパク質不足です。メタボばかり注目されがちの現代ですが実は「低栄養」は、高齢者の自立度を低下させる大きな問題なのです。【低栄養状態になると?】○体重が自然に減る。○風邪を引きやすく、なかなか治らない。○肌や粘膜に炎症を起こしやすい。○転んだりつまずいたりしやすい。低栄養がきっかけで介護が必要な状態になることもあるので防いでいきましょう!老後も自立した生活を続けてできるだけ長く元気で過ごしたいと思われると思いますが、そのためには食べる物に気を付けて生活習慣病にならないように予防するのはもちろんのこと食べる物を『よく噛んで食べられるお口』を維持するために普段から気を配っていくこともとても大事です。「噛む」ことのメリット1、胃腸の働きを促進しますよく噛むと唾液がたくさん出て、唾液に含まれるアミラーゼ、マルターゼ、リパーゼなどの酵素によって消化がおこなわれ胃腸の消化を助けてくれます。2、虫歯・歯周病・口臭を予防しますよく噛むと、唾液腺が刺激されて唾液がたくさん出るようになります。唾液は、消化酵素としての働きだけではなくお口の中を洗い流す自浄作用、酸を中和する緩衝作用、細菌と戦う抗菌作用、酸に溶かされた歯を修復する再石灰化作用などの働きを持っています。このような働きにより、お口の中の清掃効果が高まります。3、肥満を防止しますよく噛むことによって脳にある満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防いでくれます。よく噛んでゆっくりと食べることにより肥満や糖尿病、高脂血症などの予防にもつながっていきます。4、脳の働きを活発にします噛む刺激というのは、すぐ近くにある脳に伝わりやすく、よく噛むことが脳細胞を刺激し、脳の血流もよくすることで脳を活性化することがわかっています。子供の場合は学力の向上、高齢者の場合には認知症予防効果を期待できます。5、全身の体力向上人は力を出すとき、歯を食いしばって力が最大限に発揮されます。またしっかりと噛み合わせができないと体の平衡バランスも悪くなり転倒しやすくなることもわかっています。このように噛み合わせは、運動能力に大きく関わっています。6、味覚が発達しますよく噛んで食べると味細胞が刺激され食べ物の素材の味がよくわかるようになります。7、発音が発達します成長期によく噛んで食べることによりお口の周囲の筋肉が鍛えられ、顎の発達が良くなり、歯並びが良くなる効果が期待できます。歯並びが良いか悪いかで滑舌にも大きく関わってきます。大人の場合でも、よく噛むことによって噛む筋肉、表情筋が鍛えられ、表情が豊かになり発音が良くなる効果が期待できます。8、ガンを予防します唾液には様々な酵素が含まれており例えばペルオキシダーゼという酵素は発がん物質の発がん作用を消してくれる働きも持っています。噛むことによって唾液がたくさん出るのでこのような働きが盛んに行われるようになります。このように噛むということは、健康のためにとても大切ですが、そのためにも丈夫な歯をもつことは不可欠です。健康な歯が健康な身体をつくります。将来に向けて噛めるお口を維持し、老後もアクティブに過ごせるように歯を大切にしていきましょう!