こんにちは！ますだ歯科クリニックです。
前回は「洗口液について」お話しましたが
今回は「洗口液の選び方・使い方」について
お話していきたいと思います。

洗口液の選び方
—歯磨き後、すぐ使う方なら！—
（歯周予防のために洗口液を使用する方）
洗口液は「歯磨きとの併用が効果的」だと
いうことを前回お話しましたが洗口液を
使用する前に歯磨きができることが多い場合は
次の成分の入った洗口液がおすすめです。
●グルコン酸クロルヘキシジン（ＣＨＧ）
●セチルピリジニウム塩化物水和物（ＣＰＣ）
●ベンゼトニウム塩化物（ＢＴＣ）
これらの成分は、歯の表面や
バイオフィルム（プラーク）の表面、お口の
粘膜の表面に付着して、殺菌作用を
発揮するという性質があります。

歯の表面などに吸着することで細菌たちが
集まってバイオフィルムを再形成するのを
抑制する効果も期待されます。
バイオフィルム内部に浸透する力がないので
歯磨き後、できれば１～２分（遅くても
１時間以内）で使用できるとベストです。

—歯磨きができないときに使う方なら！—
（歯周予防のために洗口液を使用する方）
洗口液は、歯磨きとの併用が理想的ですが
お昼休みが短かったり、忙しかったりすると
実際は、洗口液でうがいするくらいしか時間が
ないこともあると思います。

そうした場合には、次の成分を配合した洗口液や
うがい薬がおすすめです。
●エッセンシャルオイル
●ポピドンヨード
これらの成分は、歯の表面に形成されはじめた
バイオフィルム内に浸透して、短時間で
殺菌作用を発揮します。
細菌たちがつくった膜の中に入り込んで
攻撃する力があります。
とはいえ、時間が経ちバイオフィルムが成熟して
厚くなると浸透効果は弱まります。
バイオフィルムの層が薄いほど中に入って
いけますので、使用するのは前回の歯磨きから
遅くとも６～７時間、できれば５時間以内に
使用するようにしましょう。
〈エッセンシャルオイルとは？〉

植物に含まれる有機化合物で、揮発性の
芳香物質を含みます。
簡単に言うと「ハーブ」です。
エッセンシャルオイルを主成分とした
洗口液としては「リステリン」が知られていて
シネオール、チモール、サリチル酸メチル、
メントールがエッセンシャルオイルに
あたります。（「アセスメディクリーン」の
カミツレ、ラタニア、ミルラもハーブの
一種です）。
殺菌作用のほかに抗炎症作用もあります。

—虫歯のリスクが高い方は！—
虫歯になりやすい方は、歯周病予防を
目的とした洗口液よりもフッ素（フッ化物）
入りの製品が適していることがあります。
フッ素には、お口の中の細菌の出す酸や
酸性飲食物の酸で溶けた歯の成分を補修したり
歯の結晶を強くしていく効果があります。
ただし、フッ素の効果を引き出すには、お口の
中にフッ素が長くとどまることが大切で
フッ素入りの歯磨き剤を使って歯を磨いても
すぐに洗口液を使うとフッ素が
洗い流されてしまいます。
高濃度フッ素配合歯磨き剤やフッ素洗口液も
販売されていますので、虫歯予防が
気になる方は歯科医院に相談してみましょう。

洗口液の使い方

ブラッシング後に適量をお口に含みます。
原液のまま使用するか、水で薄めるかは
製品によって異なります。
お口に含んだ洗口液を口腔全体に
くちゅくちゅと行き渡らせます。

洗口する時間は２０～３０秒程度でその後
吐き出します。
薬液の中に配合されている成分をお口の中に
作用させることが目的であるため、洗口後は
歯磨き後のように水でうがいはしないように
してください。

—注意点—
あまり多用すると、必要な細菌まで
失ってしまい「口腔カンジダ症」の発症に
つながる可能性もあるため、用法・容量は
守って使用してください。
またアルコールの入った製品もありますので
お口の状態が悪い場合（重度の歯周病や
刺激に弱い等）は使用を控え、かかりつけの
歯科医院に相談の上、使用することを
おすすめします。
—使用するおすすめの時間帯は？—
就寝前の使用です。

寝ている間は、唾液の分泌が少なくなり
細菌が繁殖しやすい環境になるからです。
朝起きたとき、口臭が気になる方やお口の中が
ネバネバするような方にもおすすめです。

２回にわたり、洗口液についてお話しましたが
ご自分の歯磨きだけでは
バイオフィルム（プラーク）が落としきれない
場所もあります。
バイオフィルムが時間とともに成長し、固く
歯の表面に付着しますと、たとえ歯ブラシを
当てられたとしてもバイオフィルムを
取り除くのは非常に難しくなり、洗口液の効果も
発揮されにくくなります。
ですから、歯科医院の定期的なメンテナンスは
欠かせません。
歯ブラシと洗口液では落とせない汚れを
落としてもらいましょう！